「-それで、分析した結果だけど」
宮下の研究室を後にし、【ノアの箱舟】に帰ってきた郁達はラヴィがいる部屋に集まっていた。
「この瓶の中身だけど細胞を作り変えて再生する成分が含まれていた。微量だけど彼の血が検出されたから夕凪が言う通り今回も彼らが裏で関係してるっぽいね」
「・・・・」
夕凪は言葉を言葉を発さず、ラヴィをじっと見ている。郁はふと研究室で夕凪が言っていたことを思い出した。
「…ノアの箱舟に敵対してる組織があるって夕凪がさっき言ってたけど…その彼もそっちに関係してる人ってことなのか?」
「勘が鋭いね。ワンコくん」
「だけど、その彼の血が混じったからって、あの化物が生まれるんですか?」
郁はラヴィに問う。ラヴィは一息つくと、口を開いた。
「…リビングデッドは生前吸血鬼に血を吸われて命を終えた人間が化けた化物だからだよ」
郁は瞬きを繰り返す
「リビングデッドは吸血鬼に血を吸われた者が非処女・非童貞であり、さらに食糧としての目的の場合のみなるんだよ。同族を作る場合は対象外だけどね。そして純血の吸血鬼はこの世に2体しかいない。ワンコくんの場合夕凪と契約して半分は吸血鬼になってるけど元は人間だったからね混血の吸血鬼に分類される。混血はリビングデッドは作れない」
「はぁ」
「さて、ここで問題。夕凪はリビングデッドは作らない。それならリビングデッドは誰が作ったかわかるよね」
「…もう一人の吸血鬼がその敵対してる組織にいるってことですか」
「そうゆうこと。目的は不明だけどデッドを大量繁殖させてる組織が【アルカナ】。ノアの箱舟は古来からいるリビングデッドを狩ってたけど、【アルカナ】のおかげで新種のデッドが最近増えてきたんだよ」
「…【アルカナ】には私の兄貴がいる」
さっきまで口をつぐんでいた夕凪がつぶやく。
「名前は世檡【セト】純血種の吸血鬼だ」
郁達は今ある部屋に向かっている。
ラヴィは会っておいて損はないし、そろそろ他の仲間も把握しておいた方がいいんじゃない?と言い出し、今その仲間がいる場所へ夕凪、リリィ二方に案内されていた。
「あのさ、もう一人の仲間ってどんな人なの?」
「郁くん。気を付けた方がいいよ?なんと今から会いにいく人は変態なのです!」
リリィはふふふっと意味深に笑う。
「へ、変態?」
「そう、大きい声では言えないんだけど…女の子にね、興味がないの」
「…はい?」
「リリィ。郁に変なこと吹き込むな」
夕凪はため息交じりにリリィの頭をこつんと叩く。
「でもでも、女の子に興味がないのはホントだよ?この前なんてせっかく男湯の暖簾と女湯の暖簾交換しておびき寄せてみたの。でもリリィたちの裸見ても無表情だったし。夕凪ちゃんのパンチ食らうまでずっと棒立ちだったよね」
「っ、リリィおまっ、あれは偶然だって!!」
「あ、いけない。夕凪ちゃんには内緒だった…」
夕凪は真っ赤な顔をして、口をパクパクしている。郁は思わず、ふっと笑ってしまった。
「な、郁何がおかしいんだよ…!」
夕凪は腰に下げていた刀に触る。
「いや、ごめん。その夕凪ちゃんも可愛いところあるんだなって。顔真っ赤にして」
「…は、ば、馬鹿なんじゃないの!馬鹿阿保ォ!な、泣き虫のくせに!!」
「ちょっ、泣き虫じゃないし!」
そうこうしているうちに例の彼がいる部屋の前に付いた。
「ユヅルくーん中入るよん!」
リリィはドアをノックし、部屋の主人の返答も聞かぬまま、ドアを開いた。
薄いレース状のカーテンが風になびき、少女の長い綺麗な黒髪が白いワンピースに触れ、キラキラとながれおちる。
少女の右脚が美しい曲線を描きながら木製のフットスツールにのっている。
青年は近くにしゃがむと彼女の右脚に触れ、口づけをした。
その光景を見ていた郁は開いた口が塞がらず、ポカーンとしていた。
「…なに」
青年は郁達に視線を向ける。
「ユヅルくん窓閉めてよー!さっき微妙に力出したから普段より鼻が敏感なんだよー!花粉の時期だし…!」
リリィは頬を膨らませながら開いている窓を閉めにいく。
「完成したドールにいちいち口づけするのやめないか?見ていて恥ずかしい」
「僕の返事も聞かずに部屋に入ってきたからいけないんでしょう。それに口づけは愛情を注いでるんだよ。それより見ない顔だね。君誰かな?」
青年はそう言うと、郁の方へ歩みを進める。
「あ、はじめまして。狗塚郁と言います」
「…はじめまして、ユヅルです。君何歳?」
「郁くんは24歳だよ。夕凪ちゃんと契約してからは幼くなっちゃってるけどね」
リリィが郁の代わりに答えた。
「夕凪と契約したのか。驚いた夕凪が種族を創ったとはな…」
ユヅルは郁を見る。
「さっそくだけど脱いでくれる?」
「…はい?」
この男はいきなり何を言い出すかと思えば、郁に服を脱げと言い放った。
郁は理解が追い付かず、口をぱくぱくさせる。
「一度混血になった身体がどうな風になってるか興味があったんだ。純血の吸血鬼と何が異なっているか。身体が縮んだ影響とか能力とか色々調べて…」
「ひぃっ、や、やめてください!服を脱がそうとしないでください!近づかないでぇぇ!!」
ユヅルはぶつぶつ言いながら、郁との間を詰めていく。リリィに助けを求めるが可愛い笑顔を向けられるだけだった。
「ユヅル」
りんとした声が部屋内に響く。
「郁は嫌がってるんだ。これ以上ふざけるなら本気で怒るぞ」
夕凪は腰に下げている日本刀に手をかける。
「…流石にここで夕凪に暴れられたら困るな。僕も他の人に見られたくない秘密もあるさ」
「例えば、女性に興味がないとかね。ドールは例外として」
「うーん、そうだね。リリィにはあんまり興味は湧かないね」
「もう!ユヅルくんの意地悪!」
ぴりっとした空気がリリィのおかげで一瞬で変わり、郁はほっと胸をなでおろした。
「さて、郁くんだっけ?君は魔女は今も実在していると思う?」
「そりゃ、まだ信じられませんが、吸血鬼や人狼が存在しているなら魔女もいるんじゃないですか?」
「魔女には女しか生まれないのは知っている?」
「魔女って言ったらイメージに近いのは女性です。女性しか生まれないのは知りませんでした」
「僕は魔女の一族から生まれた忌み子なんだよ。自分で言うのは恥ずかしいけど一族の中では強力すぎるほど魔力を持ってる」
「すごいじゃないですか。一族の中でも最も力を持ってるってことですよね?」
「今は事情により魔力は半分以上抑えてるけどね。目キラキラしすぎだよ?あと近いね…」
「あ、すいません」
無意識に今度は郁の方がユヅルに接近していたらしい。
「そんなに近づいたら僕、郁くんのこと食べちゃうよ?色んな意味で」
「リリィ。僕の声真似しないで?僕を変態キャラに仕立てあげようとしないでくれないかな」
ユヅルはリリィの頬をつねると横に何回も引っ張る。
「僕が【ノアの箱舟】にいるのはある人物を見つける為に協力してるんだ。あとついでに一族の敵討ちも」
「敵討ちはついでなんですか…」
「僕、一族に嫌われてたからね。それくらい男が生まれるのは異例だったんだよ」
「…そう、なんですか」
どこか悲しそうな表情で話すユヅルに郁は言葉を濁す。
「さて、これからどうぞよろしく。僕はまだあの子の調整が終わってないんだ」
ユヅルはドールの少女に視線を移す。
「今回はどんなドールを作ったの?ユヅルくん」
「うーん、お楽しみ」
ユヅルはそうゆうと郁達を部屋の外へ案内する。扉を閉める前ににこっと笑い「今度はノックしてから入ってね」と言って扉を閉めた。
「…ユヅルは普段はドールに少量の魔力を入れて動かしてるの。魔力を最大まで出したところは私たちも一度しか見たことない」
「ユヅルくんはあんまり戦闘には参戦しないからね。ぶっちゃけ待機組なの」
「そうなんだ…。なんかつかめそうでつかめない人だね。ユヅルさん」
「ユヅルは創設時からいるメンバーだからな…昔からあんな感じだよ。あの男は」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「やだやだ、上層部めんどくさいよー」
ラヴィの部屋に戻るとラヴィは床に寝転がっていた。
夕凪は呆れたようにラヴィに近付き、起き上がらせた。
「ラヴィさん、子供じゃないんですから床に転がらないでくださいよ」
「んー、ワンコくん。ユヅルに会ってきたんでしょ?どうだったうまくやってけそう?」
「はい。その、ここにいるのは夕凪ちゃんとリリィとユヅルさんだけなんですか?もっと大人数だと思ってました」
「他にも何人かいるけど、大体は上層部の人達かな。ノアの箱舟の第2支部はこの5人だけだよ。」
「第2支部って他にもいるってことですか?」
「一応は5支部はあったんだけど、その中の2つの支部は壊滅。今残ってるのはこの第2支部。上層部がいる第1支部。で、西には第5支部がある」
「私、第1支部は嫌い。ただ座って偉そうにしてるだけじゃん…」
リリィはそっぽを向きながら、つぶやく。
「リリィ。そんなこと言ったらうちの支部のお金減らされちゃうから上層部の前では言わないでね。まぁ、私も上層部嫌いだけども。あー上層部めんどくさーい! 」
ラヴィはそうゆうとまた床を寝転び始め、夕凪は諦めたようにため息をつく。
「…それで、ラヴィさん。上層部に行ってなに言われたんですか」
「上層部の備品庫から一つ備品がなくなったので、そっちの泥棒狼をしっかりしつけなさい、と」
「う、んん~、何のことかな~?」
「無断で一般人と契約を結び、報告もなしとはどうゆうことだ、と」
「それって、ラヴィさんが伝え忘れただけですよね」
「うん。すっかり忘れてた。速攻謝った」
「…アルカナについては?何か言ってましたか」
「早急にデッドを殲滅し、アルカナの息の根を止めろってさ。早速だけど三人にある場所に向かってほしい。デッドの目撃情報が入った」
「場所は?デッドの特徴は」
「場所は某大学。それが変わったデッドらしい」
「変わったデッド?」
「喰べないんだよ。ターゲットが決まっているのに」
「は…?」
「ターゲットになっている人間もまたそいつがデッドだと知っている」
郁は身を乗り出し、声を張る。
「ちょっと、待ってくださいよ。どうゆうことですか?その人はデッドを恐れてないってことですか?!」
「とりあえず、その人間の安全を第一に考え、場合によってはそのデッドをその人間の前で殺せってことらしい」
「…そんなのわかってる。その人間の記憶は上層部の方で塗り変えてくれるんですよねラヴィさん?」
「現場には上層部の下っ端もいるらしいから、その人達が対処するよ。頼んだよ三人とも」
郁は理解ができなかった。郁にとってはデッドは恐怖の対象倒すべき相手なのだ。どんな事情があってもデッドはただの人食いの化物だ。と考えていた。
「場合によっては、その人間を盾にする可能性もある。接近戦を得意としてる私やリリィには不利だ。郁頼むぞ」
夕凪は郁の肩に手を置き、言った。
宮下の研究室を後にし、【ノアの箱舟】に帰ってきた郁達はラヴィがいる部屋に集まっていた。
「この瓶の中身だけど細胞を作り変えて再生する成分が含まれていた。微量だけど彼の血が検出されたから夕凪が言う通り今回も彼らが裏で関係してるっぽいね」
「・・・・」
夕凪は言葉を言葉を発さず、ラヴィをじっと見ている。郁はふと研究室で夕凪が言っていたことを思い出した。
「…ノアの箱舟に敵対してる組織があるって夕凪がさっき言ってたけど…その彼もそっちに関係してる人ってことなのか?」
「勘が鋭いね。ワンコくん」
「だけど、その彼の血が混じったからって、あの化物が生まれるんですか?」
郁はラヴィに問う。ラヴィは一息つくと、口を開いた。
「…リビングデッドは生前吸血鬼に血を吸われて命を終えた人間が化けた化物だからだよ」
郁は瞬きを繰り返す
「リビングデッドは吸血鬼に血を吸われた者が非処女・非童貞であり、さらに食糧としての目的の場合のみなるんだよ。同族を作る場合は対象外だけどね。そして純血の吸血鬼はこの世に2体しかいない。ワンコくんの場合夕凪と契約して半分は吸血鬼になってるけど元は人間だったからね混血の吸血鬼に分類される。混血はリビングデッドは作れない」
「はぁ」
「さて、ここで問題。夕凪はリビングデッドは作らない。それならリビングデッドは誰が作ったかわかるよね」
「…もう一人の吸血鬼がその敵対してる組織にいるってことですか」
「そうゆうこと。目的は不明だけどデッドを大量繁殖させてる組織が【アルカナ】。ノアの箱舟は古来からいるリビングデッドを狩ってたけど、【アルカナ】のおかげで新種のデッドが最近増えてきたんだよ」
「…【アルカナ】には私の兄貴がいる」
さっきまで口をつぐんでいた夕凪がつぶやく。
「名前は世檡【セト】純血種の吸血鬼だ」
郁達は今ある部屋に向かっている。
ラヴィは会っておいて損はないし、そろそろ他の仲間も把握しておいた方がいいんじゃない?と言い出し、今その仲間がいる場所へ夕凪、リリィ二方に案内されていた。
「あのさ、もう一人の仲間ってどんな人なの?」
「郁くん。気を付けた方がいいよ?なんと今から会いにいく人は変態なのです!」
リリィはふふふっと意味深に笑う。
「へ、変態?」
「そう、大きい声では言えないんだけど…女の子にね、興味がないの」
「…はい?」
「リリィ。郁に変なこと吹き込むな」
夕凪はため息交じりにリリィの頭をこつんと叩く。
「でもでも、女の子に興味がないのはホントだよ?この前なんてせっかく男湯の暖簾と女湯の暖簾交換しておびき寄せてみたの。でもリリィたちの裸見ても無表情だったし。夕凪ちゃんのパンチ食らうまでずっと棒立ちだったよね」
「っ、リリィおまっ、あれは偶然だって!!」
「あ、いけない。夕凪ちゃんには内緒だった…」
夕凪は真っ赤な顔をして、口をパクパクしている。郁は思わず、ふっと笑ってしまった。
「な、郁何がおかしいんだよ…!」
夕凪は腰に下げていた刀に触る。
「いや、ごめん。その夕凪ちゃんも可愛いところあるんだなって。顔真っ赤にして」
「…は、ば、馬鹿なんじゃないの!馬鹿阿保ォ!な、泣き虫のくせに!!」
「ちょっ、泣き虫じゃないし!」
そうこうしているうちに例の彼がいる部屋の前に付いた。
「ユヅルくーん中入るよん!」
リリィはドアをノックし、部屋の主人の返答も聞かぬまま、ドアを開いた。
薄いレース状のカーテンが風になびき、少女の長い綺麗な黒髪が白いワンピースに触れ、キラキラとながれおちる。
少女の右脚が美しい曲線を描きながら木製のフットスツールにのっている。
青年は近くにしゃがむと彼女の右脚に触れ、口づけをした。
その光景を見ていた郁は開いた口が塞がらず、ポカーンとしていた。
「…なに」
青年は郁達に視線を向ける。
「ユヅルくん窓閉めてよー!さっき微妙に力出したから普段より鼻が敏感なんだよー!花粉の時期だし…!」
リリィは頬を膨らませながら開いている窓を閉めにいく。
「完成したドールにいちいち口づけするのやめないか?見ていて恥ずかしい」
「僕の返事も聞かずに部屋に入ってきたからいけないんでしょう。それに口づけは愛情を注いでるんだよ。それより見ない顔だね。君誰かな?」
青年はそう言うと、郁の方へ歩みを進める。
「あ、はじめまして。狗塚郁と言います」
「…はじめまして、ユヅルです。君何歳?」
「郁くんは24歳だよ。夕凪ちゃんと契約してからは幼くなっちゃってるけどね」
リリィが郁の代わりに答えた。
「夕凪と契約したのか。驚いた夕凪が種族を創ったとはな…」
ユヅルは郁を見る。
「さっそくだけど脱いでくれる?」
「…はい?」
この男はいきなり何を言い出すかと思えば、郁に服を脱げと言い放った。
郁は理解が追い付かず、口をぱくぱくさせる。
「一度混血になった身体がどうな風になってるか興味があったんだ。純血の吸血鬼と何が異なっているか。身体が縮んだ影響とか能力とか色々調べて…」
「ひぃっ、や、やめてください!服を脱がそうとしないでください!近づかないでぇぇ!!」
ユヅルはぶつぶつ言いながら、郁との間を詰めていく。リリィに助けを求めるが可愛い笑顔を向けられるだけだった。
「ユヅル」
りんとした声が部屋内に響く。
「郁は嫌がってるんだ。これ以上ふざけるなら本気で怒るぞ」
夕凪は腰に下げている日本刀に手をかける。
「…流石にここで夕凪に暴れられたら困るな。僕も他の人に見られたくない秘密もあるさ」
「例えば、女性に興味がないとかね。ドールは例外として」
「うーん、そうだね。リリィにはあんまり興味は湧かないね」
「もう!ユヅルくんの意地悪!」
ぴりっとした空気がリリィのおかげで一瞬で変わり、郁はほっと胸をなでおろした。
「さて、郁くんだっけ?君は魔女は今も実在していると思う?」
「そりゃ、まだ信じられませんが、吸血鬼や人狼が存在しているなら魔女もいるんじゃないですか?」
「魔女には女しか生まれないのは知っている?」
「魔女って言ったらイメージに近いのは女性です。女性しか生まれないのは知りませんでした」
「僕は魔女の一族から生まれた忌み子なんだよ。自分で言うのは恥ずかしいけど一族の中では強力すぎるほど魔力を持ってる」
「すごいじゃないですか。一族の中でも最も力を持ってるってことですよね?」
「今は事情により魔力は半分以上抑えてるけどね。目キラキラしすぎだよ?あと近いね…」
「あ、すいません」
無意識に今度は郁の方がユヅルに接近していたらしい。
「そんなに近づいたら僕、郁くんのこと食べちゃうよ?色んな意味で」
「リリィ。僕の声真似しないで?僕を変態キャラに仕立てあげようとしないでくれないかな」
ユヅルはリリィの頬をつねると横に何回も引っ張る。
「僕が【ノアの箱舟】にいるのはある人物を見つける為に協力してるんだ。あとついでに一族の敵討ちも」
「敵討ちはついでなんですか…」
「僕、一族に嫌われてたからね。それくらい男が生まれるのは異例だったんだよ」
「…そう、なんですか」
どこか悲しそうな表情で話すユヅルに郁は言葉を濁す。
「さて、これからどうぞよろしく。僕はまだあの子の調整が終わってないんだ」
ユヅルはドールの少女に視線を移す。
「今回はどんなドールを作ったの?ユヅルくん」
「うーん、お楽しみ」
ユヅルはそうゆうと郁達を部屋の外へ案内する。扉を閉める前ににこっと笑い「今度はノックしてから入ってね」と言って扉を閉めた。
「…ユヅルは普段はドールに少量の魔力を入れて動かしてるの。魔力を最大まで出したところは私たちも一度しか見たことない」
「ユヅルくんはあんまり戦闘には参戦しないからね。ぶっちゃけ待機組なの」
「そうなんだ…。なんかつかめそうでつかめない人だね。ユヅルさん」
「ユヅルは創設時からいるメンバーだからな…昔からあんな感じだよ。あの男は」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「やだやだ、上層部めんどくさいよー」
ラヴィの部屋に戻るとラヴィは床に寝転がっていた。
夕凪は呆れたようにラヴィに近付き、起き上がらせた。
「ラヴィさん、子供じゃないんですから床に転がらないでくださいよ」
「んー、ワンコくん。ユヅルに会ってきたんでしょ?どうだったうまくやってけそう?」
「はい。その、ここにいるのは夕凪ちゃんとリリィとユヅルさんだけなんですか?もっと大人数だと思ってました」
「他にも何人かいるけど、大体は上層部の人達かな。ノアの箱舟の第2支部はこの5人だけだよ。」
「第2支部って他にもいるってことですか?」
「一応は5支部はあったんだけど、その中の2つの支部は壊滅。今残ってるのはこの第2支部。上層部がいる第1支部。で、西には第5支部がある」
「私、第1支部は嫌い。ただ座って偉そうにしてるだけじゃん…」
リリィはそっぽを向きながら、つぶやく。
「リリィ。そんなこと言ったらうちの支部のお金減らされちゃうから上層部の前では言わないでね。まぁ、私も上層部嫌いだけども。あー上層部めんどくさーい! 」
ラヴィはそうゆうとまた床を寝転び始め、夕凪は諦めたようにため息をつく。
「…それで、ラヴィさん。上層部に行ってなに言われたんですか」
「上層部の備品庫から一つ備品がなくなったので、そっちの泥棒狼をしっかりしつけなさい、と」
「う、んん~、何のことかな~?」
「無断で一般人と契約を結び、報告もなしとはどうゆうことだ、と」
「それって、ラヴィさんが伝え忘れただけですよね」
「うん。すっかり忘れてた。速攻謝った」
「…アルカナについては?何か言ってましたか」
「早急にデッドを殲滅し、アルカナの息の根を止めろってさ。早速だけど三人にある場所に向かってほしい。デッドの目撃情報が入った」
「場所は?デッドの特徴は」
「場所は某大学。それが変わったデッドらしい」
「変わったデッド?」
「喰べないんだよ。ターゲットが決まっているのに」
「は…?」
「ターゲットになっている人間もまたそいつがデッドだと知っている」
郁は身を乗り出し、声を張る。
「ちょっと、待ってくださいよ。どうゆうことですか?その人はデッドを恐れてないってことですか?!」
「とりあえず、その人間の安全を第一に考え、場合によってはそのデッドをその人間の前で殺せってことらしい」
「…そんなのわかってる。その人間の記憶は上層部の方で塗り変えてくれるんですよねラヴィさん?」
「現場には上層部の下っ端もいるらしいから、その人達が対処するよ。頼んだよ三人とも」
郁は理解ができなかった。郁にとってはデッドは恐怖の対象倒すべき相手なのだ。どんな事情があってもデッドはただの人食いの化物だ。と考えていた。
「場合によっては、その人間を盾にする可能性もある。接近戦を得意としてる私やリリィには不利だ。郁頼むぞ」
夕凪は郁の肩に手を置き、言った。
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